船橋、西船橋にある動物病院です   診療内容 犬、猫、フェレット、ウサギ、ハムスター。その他の動物についてはご相談ください

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#猫バンバン

年も改まり、ついに「平成最後」のお正月が過ぎ去ってしまいました。今年の冬は昨年よりは多少過ごしやすいのでは?とは思いますが、それでも冬真っ盛りです。

連日、寒さが続いて外に出るのもちょっと億劫になっている方も多いのではないでしょうか?もちろん、屋外生活の猫たちにも、我々よりさらに過酷なかたちでその季節が訪れています。
この季節、屋外生活の猫はできるだけ暖かく安全そうな場所を探し回り、そうした場所に身を潜めていることでしょう。(下の写真は近所の駐車場の常連さん達です。)

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ところで、ドライバーの皆さん、車に乗ろうとドアノブに手をかけた途端に車の下から猫が慌てて飛び出してくるのはよく目にする光景だと思います。突然ですからびっくりしますよね。
車体の陰は猫の外敵から身を隠しやすい場所であり、特に冬季には車の余熱が残る場所は寒さしのぎの避難先にもなっていることはご存知の方も多いでしょう。

”エンジンがかかれば、猫は逃げちゃうでしょ?”

もしかしたら、多くの方は漫然とそう思っているのではないでしょうか?

まさか、エンジンルームに猫が入っているなんてことが想像できず、エンジンをかけている方がほとんどなはずです。毎日、膨大な数にのぼる「まさか」のうちの幾つかが悲劇を生み、その都度ひとつの命が危機に見舞われています。

獣医師であればすべてといっていい程、こうした悲劇の猫たちの姿を多かれ少なかれ必ず忘れ得ない記憶として残しているものです。
エンジンルームの隙間でタイミングベルトなどに巻き込まれて動物病院に運ばれてくる猫の状況は一般の方にはまさに正視に耐えない状態であることも数多く経験します。
生後、まだ数か月程度の子猫の被害が目立つのですが、仔猫は体が小さいため狭い隙間に入りこみやすいということと、まだ経験が少なく車の危険性を学習できずに逃げ遅れるなどの理由からではないでしょうか。

統計などありませんが、病院に連れて来られることもなく、もしくはその場で犠牲となっている猫はかなりの数に上ることは間違いありません。
動物病院にいらっしゃる自動車修理関係の飼い主さん達からは、猫がエンジンに巻き込まれて持ち込まれる車両は多いという話を実際に何度も聞いたことがあります。

ー>「JAF、クルマ何でも質問箱、トラブル」

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社会の片隅に埋もれてしまっているこのような実態に対して、我が国を代表するグローバルメーカーの日産自動車が光を当て続けています。
この日産自動車が推進するCSR(企業の社会的責任)事業の一環?だろうと思うのですが、私たちの生活に身近な猫の悲劇を防ぐために継続的な啓発活動を行っていることを皆様はご存知でしょうか。
毎年、冬季に日産自動車のホームページやSNSなどでそのような啓発を見かけた方もそれなりにいらっしゃると思います。

「猫バンバン」という標語は、車のエンジン始動の前にボンネットを”バンバン”して猫をエンジンルームから追い出す行為を指します。広い意味では車体の下やタイヤハウスなどの物陰に潜んでいる猫に”危ないぞ”というサインを送って、猫を危険から遠ざけましょうという意味合いも含むものと思います。

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実際にはボンネットなど車体をバンバンしたり、ドアの開閉を繰り返したような場合には猫が恐怖を感じてさらに奥へと逃げ込んでしまうという指摘もあるのは確かです。
最終的ににボンネット開けてエンジンルームまでしっかりと確認する必要もあるのかもしれませんし、それでも見つからない場合さえあるようです。
エンジンルームなんて滅多に見ないといというユーザーも多い中、そうした可能性の問題まで対策を求めると「猫バンバン」自体のハードルがとても高いものになってしまいますからそれは考えものです。

完璧を期すのはなかなか難しいものですが、少なくともこうした事実や最低限取るべき行動を多くのドライバーがシェアすれば、全てではないものの痛ましい事故が多少は減る方向には向かうのではないでしょうか。

不充分かもしれないけれど、とにかくやってみましょうということはとても大事なことです。

ー>「猫バンバン」とは?(Wikipedia)
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企業が収益と一見無関係にみえる事業を行うことを単なるイメージ戦略のひとつといえばそれまでですが、大小の社会への貢献を表明するために多くの企業がそういった事業を行うご時世です。
社会貢献を行う企業から消費者へのメッセージは誰もが受け入れらえれ、わかりやすく印象に残るものでなければならないでしょう。

そういった意味で「猫バンバン」という目を引く猫のアイコンとワンフレーズによる、インターネットを賢く利用した啓発活動を選んだ日産自動車の着眼点には素晴らしいものがあると思います。
多額の費用をかけずとも、痛ましい猫の死への世間の認知度を上げるという社会貢献も果たしつつあるでしょうし、自社のイメージアップにもそれなりに成功したのではないでしょうか。

さらに今後の展開として「猫バンバン」という呼びかけだけに留まらず、車のあり方に関わるような何かより実効性のある対策があれば文句なしの出来栄えとなるでしょう。
残念ながら車側のコストアップにつながるような対策のハードルはけた違いに高いと言わざるを得ませんが、それはその時点で動物愛護の視点の問題ではなくなるということでしょうから致し方ありません。

「猫の侵入による外的要因による故障」が車の品質問題だという認識が消費者、それも世界的に起こらない限りはコスト競争に血眼になっている製造業にその選択をさせるのは難しいのは確かなことでしょう。
まあ、購入の際にディーラーオプション品として、猫の侵入を防ぐような装置などがあれば、「猫バンバンプロジェクト」と合わせて日本国内ではそれなりの需要はあるかもしれませんが。。。

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この「#猫バンバンプロジェクト」に好意を感じるような潜在顧客層は普段から猫に何らかの愛情や関心を感じているか、それが昂じて猫を飼っているという社会全体から見ると多いとはいえ限られた人々と言えるでしょう。

猫好き脳のフィルターを通して見ると、そんなことないのでは?と感じるかもしれませんが、実際には猫の飼育世帯率はわが国では昨今の「ネコノミクス」などという造語の話題性にも関わらず世界的に見ても低いわずか9.9%でしかありません。
(2016年、一般社団ペットフード協会調査による)

一方で、さまざまなレベルの「猫嫌い」は猫好きな層に対して無視できないほどの割合で存在していると思われます。そうした無関心以下の層に対してはこのプロジェクトは訴求力はおろか、場合によって嫌悪感さえ生じかねません。

また、さらにこの話題は猫好きに対しても、かわいらしい猫のキャラクターに隠れて表立っては表現されないものの、車という自社が製造しているプロダクトが引き起こす可能性のある猫の死などの凄惨性の強いネガティブなイメージを伴っています。

強調しすぎれば、なんでも他責の世の中(特に企業には)ですから、藪蛇的にあらぬ方向から話が自社製品の問題に及んだり、なぜ対応をユーザー任せにするのか?などという責任の一端を負わされかねない、なんてこともあるかもしれません。

とりわけ猫にシンパシーのない層にとっては迷惑な猫によって大事な車の価値が損なわれたり、事後処理や故障への金銭的、精神的負担を生じる可能性のある問題でもあるわけですから。。。

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このプロジェクトが、その受け手によるマイナス面を持っているのかどうかは実際には分かりません。
いずれにせよ日産自動車が事故に巻き込まれる猫に自社プロダクトが関係する可能性がある、という微妙なリスクをとりつつこうした活動を継続的に行うということは意義深いものがあると思います。

万人受けを狙うばかりに「木を植える」ような優等生的な活動が人や資金の投入に見合わずイメージ戦略としていまひとつであったり、差別化できずに金太郎飴的に埋もれてしまったりとイメージづくりとはなかなか大変なものでしょうが、「猫バンバン」がターゲット層に与える印象はそうしたものとは対照的です。
日産自動車の判断はココと決めた層には非常に分かりやすく強い印象を残すことができるという点でイメージ戦略とはこうあるべき、といういいお手本といえるのかもしれません。

今後の展開としてあるかどうかわかりませんが、もし、こうした取り組みがメーカー1社にとどまらず業界全体に、さらに異業種などをと巻き込んで起これば「我々、猫が好きでたまらない層」に留まらず、ちょっとだけですが世の中が明るくなるような気がいたします。。。

年初から、昨年末から続くゴーン前会長の事件で逆風を受け続けている日産自動車ではありますが、今年も「#猫バンバン」プロジェクトは継続されているようですので、微力ながら応援させていただきたいと思っております。

何やら余談が長くなってしまいましたが、さて、皆様いかがお感じになるでしょうか?
ご興味のある方はぜひ下のリンクをぜひ訪れてみてください。

ー>「のるまえに猫バンバン」
  (日産自動車のサイトへリンクします)

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文責:あいむ動物病院西船橋
病院長 井田 龍

動物愛護法について

動物愛護を規定している法律があるということ自体をご存知の方は多いと思います。
今回のテーマは動物愛護とそれを取り締まる法律についてちょっと掘り下げてみました。何とも堅いお話かもしれません。。。

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現在の我が国における犬猫等、飼育動物の動物愛護を規定する法律は「動物の愛護及び管理に関する法律」です。

この法律は「動物愛護法」や「動物愛護管理用法」もしくはやや古い呼び名の「動管法」など、この法律に関わる動物愛護、行政、ペット産業など、法律を見る立場によって異なる名称で呼ばれています。(当ブログでは動物愛護法とします)

そもそも、この法律の前身となった「動物の保護及び管理に関する法律」はその特徴として各種産業や行政に対しての規制を行うための「産業法」としての性質を持っており、現在の動物愛護法にもその特徴が色濃くみられます。

つまり、動物愛護法は初めから”動物愛護ファースト”の法律として生まれたものではありませんでした。

我が国における動物愛護法は、動物の管理や規制に重きを置く既存の法律に、時代が求める動物愛護の精神を加えつつ、順次改正を重ねてバージョンアップしてきた法律であるという歴史があります。

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動物愛護法は基本原則として、すべての人が「動物は命あるもの」であることを認識し、みだりに動物を虐待することのないようにするのみでなく、人間と動物が共に生きていける社会を目指し、動物の習性をよく知ったうえで適正に取り扱うことを求めています。

また、飼い主はその責任として、動物の種類や習性等に応じて、動物の健康と安全を確保するように努め、動物が人の生命等に害を加えたり、迷惑を及ぼさないこと。
みだりに繁殖することを防止するために不妊去勢手術等を行うこと。
動物による感染症について正しい知識を持ち感染症予防のために必要な注意を払うことなどを定めています。

さらに、動物が自分の所有であることを明らかにするための措置を講ずること、動物の所有情報を明らかにするためにマイクロチップなどの装着を推進しています。
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>動物愛護管理法の概要について

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冒頭にも書いた通り、動物愛護法は1973年に成立した「動物の保護及び管理に関する法律」を元にしていますが、当時はまだ現在のような動物愛護への意識の高まりや議論が成熟していない時代でもあったのでしょう。
法律の趣旨は動物愛護に重きをおいた国民意識の向上というよりも、むしろ、行政などが動物をどう管理し、扱うかという実務面に主眼が置かれていたようです。

昭和のバブル景気の第一次ペットブームを経て、時代の変化とともに飼育動物は愛玩動物(ペット)から伴侶動物コンパニオンアニマルと呼ばれるようになってきました。
これは飼育動物への向き合い方がより深く多様化して、人生における伴侶や家族、かけがえのない友人という位置づけで、人と共生する飼育動物のあり方が定着してきたという変化の表れといえるでしょう。

動物愛護の概念の変化による時代の要請を受け、さらに”国際的にも通用する法律”を目指して1991年に改正された法律が現在の「動物の愛護及び管理に関する法律」、すなわち動物愛護法なのです。

また、各地方自治体でもこの動物愛護法の成立を受けて「動物の愛護及び管理に関する条例」が制定されているのはご存知でしたでしょうか。
当院のある千葉県でも2016年に「千葉県動物の愛護及び管理に関する条例」が施行されており、各自治体レベルでの動物愛護に関する規定と罰則を設けています。

>千葉県動物の愛護及び管理に関する条例

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動物愛護法では第44条に「動物の所有者」は適正飼育と保護など、動物の適正な取り扱いに努めなければならないと規定されています。
また、愛護動物をみだりに殺し、傷つけたものは最高で2年以下の懲役、または200万円以下の罰金、様々なネグレクト等の愛護動物の保護、管理の放棄やその他虐待、遺棄に対しては100万円以下の罰金が科されることになっています。

また、我々獣医師に対しては第41条では、業務上、みだりに殺されたり傷つけられた、もしくは虐待を受けたと思われる動物を発見した時には都道府県知事やその他関係機関への通報を促しています。

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念願の動物愛護を前面に謡う法律は施行されました。法律を実効性のあるものとするためには、しかるべき行政の「関係機関」に執行を委ねなければ十分な効力を持たせることはできませんが、ところがこれが早々に問題となりました。

つまり、どこがこの法律を執行するのか?ということです。
法律が機能するためには法律にある通報すべき「その他関係機関」とはいったい”どこ”で、通報者が”どのように”手続きを踏めばよいのかという手順が明らかになっていなければなりません。

当然、わが国には「動物保護監督署」なんてものはありませんから、こうした法律違反を懲罰ないし逮捕権を持って取り締まることができる「署」は警察署だろうと容易に想像できるのですが、法案成立直後しばらくは警察との連携がうまくいっていたとはお世辞にも言えない状況だったようです。

警察以外ではどこでしょう?国、地方自治体に関わらず「〇〇所」という組織があまり期待できないのはご想像のとおりです。

法律はその執行の手順があいまいなままだといわゆる”ザル法”になってしまいますが、広い意味でも狭い意味でもわが国にはそのような法律があらゆる分野に見られます。
よく例に出される政治資金規正法売春防止法、パチンコなど賭博関係の無法状態など挙げればきりがありませんし、動物関係であれば狂犬病予防法がそうした法令に該当するかもしれません。

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2012年の動物愛護法改正では、こうした点も考慮してか、警察との連携がようやく盛り込まれました。
これに伴って法律の執行に関して警察庁から各道府県警察警視庁に通達が出されているようですが、それでも残念ながら実際には現場では事件や犯罪として扱われることもなく、文書にさえ残らないという問題が生じていました。

その後、再び2016年に動物の殺傷、虐待、遺棄などが考えられる場合の 警察の対応を求めるための指針「愛護動物の対応要領」が警察庁から各都道府県警察宛てに出ています。
警察の現場レベルでは動物愛護法違反は犯罪であるという認識がまだ薄いというのが現実ではあるのですが、警察の統計資料では動物虐待事犯の「検挙事件数」に関しては統計がある平成22年以降、確実に増え続けているようです。
平成29年(2017年)に68件という数字はまだまだ不十分なものかもしれませんが、今後のより適正な法の執行を期待できるデータであろうと思います。下記に「警察庁生活安全局」の統計資料を示します。

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愛護動物の対応要領」では、下記に該当するような事例があった場合に、警察がどのように対応するべきかが分かりやすいチャート形式になっています。動物虐待が疑われるような個々のケースにおいてその対応が警察官に十分に周知されていない場合、警察が執行すべき業務の基本事項として提示できるのではと思います。

警察庁から各都道府県宛てのお達しですから警察官に職権を行使していただく上で、ある程度の効力を期待できるのではないでしょうか。

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我が国はいわゆる「法治国家」です。
しかしながら、行政が直面するさまざまな問題や利害関係などへの”忖度”による不作為、ないし作為による法律の不適切な運用が残念ながら様々な分野でまかり通ってしまっているのが公然の事実ではないでしょうか。

こうした行政のヤル気、状況次第による法律の運用はその在り方として望ましいとは到底言えませんが、こうした状況の改善を当事者の行政任せにしても何の解決にもなりません。

一般市民の方々はもちろん、動物愛護法に通報の努力が明記されている我々獣医師などの関係者は特に無関心であってはならないと思います。それが直ちに物事に変化を与えるものではないにしても、こうした問題に対して関心を持って見守っていく、という姿勢を常に忘れてはならないでしょう。

動物愛護法で謡われている理念や決まり事、罰則が十分機能せず、ただ条文に書いてあるだけの「放置国家」ではあってはならないと思うのですが、皆様いかがお考えになるでしょうか?

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文責:あいむ動物病院西船橋 病院長 井田 龍

真夏の湿疹 ~ホットスポット

梅雨も明けて、夏本番。気温も連日のように35度を超えるようになってきました。人間はもちろんですが、夏でも脱ぐことのできない厚い毛皮と脂肪のコートをまとったわんこ達にとってはヒトが感じるより、遥かに過酷な季節でもあります。

ところで、犬には気温、湿度の上昇とともに増えてくる皮膚病急性湿疹があることをご存知でしょうか? それは。。。

急性湿性皮膚炎、別名ホットスポットとも呼ばれます。ワンちゃんを飼われている方なら、もしかしたら一度や二度は耳にされたこともあるかもしれません。

「ホットスポット」と聞くと、近年では、「放射線量の。。。」とか、「無線LANの。。。」という意味で使われることが多いのですが、本来は局地的に何かの値が高かったり、何らかの活動が活発な地点・場所・地域のことを指さすための用語です。

動物医療で使われる場合の「ホットスポット」はこの、急性湿性皮膚炎、化膿性外傷性皮膚炎とも呼ばれる、いわゆる急性湿疹のことを指します。ホットスポットと呼ばれる所以は、皮膚の一部のエリアに突然、外見上の激しい変化が起きるためだからでしょうか。

この場合の飼い主さんの訴えの特徴としてはあるパターンとして。。。

”朝起きたときは何ともなかったのに、昼過ぎにこんなになったんです!!!”

という、突然でびっくりした」という雰囲気を診察時によく感じるものです。

急性湿性皮膚炎はおおよそ数時間から一日以内の期間で急に発症します。皮膚病で「痒い」というよりむしろ痛みに近い症状が見られ、しきりに舐めたり地面に擦りつけたりしますので患部の損傷がより大きくなります。痛みなどの不快感が高いため飼い主さんが触ろうとしてもなかなか見せてくれないこともしばしばです。

来院時の状態は様々ですが、通常は激しく舐めるために周囲の被毛には唾液とホットスポットから出る血液滲出液(滲み出る体液)などがこびりついていることが普通です。これは皮膚が広範囲に激しく炎症をおこしていることを示しており、その上の被毛はそれに伴って根こそぎごっそりと抜けてしまうことも少なくありません。

ホットスポットの具体的な症状ははどんなものなのか?文章では分かりにくいので、まず下の4つの写真をご覧いただければと思います。

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次の写真は中年齢のゴールデンレトリバーです。半日でこの状態になりました。ホットスポット上の被毛は完全に抜けてしまっており、体液と血液が周囲の被毛を濡らしています。

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次の写真は若いシーズーです。トリミング中の急性発症です。この間わずか数時間で、あまりに急でしたのでトリマーの方が代理で来院しました。表皮は体液で濡れており、相当掻いたようで、それに一致してホットスポットが広がっています。

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次の写真は老齢のパピヨンです。前日の夜は何ともなかったようですが、尻尾の付け根を噛んでグルグル回るということで昼前にいらっしゃいました。写真は体液でべったりくっついていた被毛を治療のために除去したところです。

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次の写真もパピヨンです。やはり前日には何もなかったとのことですが、急に尻尾を噛みだして出血しているということでいらっしゃいました。尻尾の周り全周に渡り血液の混ざった体液が全体に付着しています。非常に痛みが強いので、今後の尾への自己損傷が心配です。

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ホットスポットはあらゆる犬種で見られますが、アンダーコートが密生している犬に多い傾向があり、ゴールデンレトリバー柴犬、シベリアンハスキーなどではよく見られます。発症原因は明確ではありませんが、いくつかの要因が重なり合って発症するといわれています。発症の引き金としては何らかのアレルギー、例えば食事性アレルギーノミやダニなどの外部寄生虫により発症するアレルギーや、アトピーなどが考えられています。

アレルギーなどで生じた皮膚炎の痒みなどの刺激により、舐めたり引っ掻いたりすることで皮膚損傷がさらに広がって表皮バリア機能が破たんします。すると、そこに普段から存在するブドウ球菌などの細菌が侵入、二次感染を起こして広範囲に化膿を生じます。

夏季での発生が多いこと、被毛が密に生えている犬に多く見られることから、高い気温湿度などにより表皮の代謝が変化したり、蒸れやすくなって皮膚環境が悪化することも、発症要因としては大きいと考えられます。

ホットスポットの病変にはブドウ球菌などの細菌が観察されることが頻繁にありますが、これは主原因ではなく二次感染ですので人のブドウ球菌感染で見られるような「とびひ伝染性膿痂疹)」のように、他の犬はもちろん、人には感染しませんのでご安心ください。局所では激しい炎症を生じますが、全身への波及は通常みられません。

治療は二次感染の原因となっている細菌感染のための抗生物質アレルギーを原因とする強い痛みや痒みに対する抗炎症薬副腎皮質ステロイドホルモン製剤等)の投薬を行います。病変が唾液や体液で汚れていたり、滲出液(にじみ出てくる体液)が多い場合には、毛刈りを行いホットスポット表面の清潔を保てるようにして消毒薬薬用シャンプーなどの外用薬を継続します。同時に、舐める、噛むなどの自己損傷を防ぐためにエリザベスカラーは装着したほうがいいでしょう。

経過が順調であれば、数日で次第に細菌感染炎症が軽減し、一週間弱で痂疲化(カサブタになる)して数週間程度で被毛が生えそろいます。ホットスポットはシーズンごとに繰り返すことも多く、このような場合には夏季では室温を下げたり、被毛を短く保つ、シャンプーの回数を増やすなどの生活環境の改善が必要なこともあります。
また、アレルギーの低減のために皮膚疾患に大きくかかわるノミダニなどの外部寄生虫の予防を行うことや、場合によっては食事性のアレルギーに配慮された食材に変更するということも必要かもしれません。

梅雨から夏季にかけて、動物たちを取り巻く環境は大きく変化しやすいものです。暑い夏といえば、あちこちで緊急疾患の熱中症がクローズアップされがちですが、いわゆる気象病的な体調不良から心臓病腎臓病などの内科系疾患の悪化に至るまで、夏季に生じる異常は多岐にわたります。
つまり、この時期に注意すべきものは今回取り上げたホットスポット熱中症などの分かりやすいトピック的なものばかりではないということです。夏はただ暑く、不快なだけではありません。病気を持っていたり高齢動物とともに生活している方は注意深く様子を観察してあげてください。。。

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文責:あいむ動物病院西船橋 病院長 井田 龍

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