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新型コロナウイルス

最初に、当コラムの文章は人間における新型コロナウイルス感染症に関して言及したものではなく、動物医療での現状と対応についてのものですのでそのような視点でご覧ください。

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現在、中国武漢発の「新型コロナウイルス」による新興感染症武漢肺炎)の日本への蔓延に関して、連日のようにメディアで取り沙汰される中、多くの方が不安を抱いていらっしゃるであろうと思います。

この武漢肺炎と呼ばれていた感染症は今月、2020年2月にWHOの決定により急性呼吸器疾患COVID-19COronaVIrus Disease 2019)という公式名称を与えられました。現在、国内では「新型コロナウイルス感染症」という呼び名となっています。

ところで、この新型コロナウイルスですが、まだ未知なもの故に感染のしかたや潜伏期間感染率などに様々な情報が錯綜しています。
厚生労働省をはじめとする行政機関のこの感染症に関する情報の扱いの問題点も加わって、現在のところ一般市民に対して非常に分かりにい状態になっているのはご存知の通りです。

その結果として、社会への影響をどのように最小化するかという目的とその手段や国民への情報伝達などに関して、政治や行政の対応に合理性や一貫性を欠くものとなり、日々増える患者数に対する不安が不透明な状況により増幅されていにるようにもみえます。

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こうした状況の下で、特に犬猫をはじめとする飼育動物とその飼い主(人間)の間で、この新型コロナウイルスがどのようにふるまうのか?
この問題は動物と暮らしている方には気になる点ですが、まだそこまで社会的にも医学的にも注意が向いていないことから、あまり問題視はされておりません。

人間社会が混乱した状況ですから、社会的に優先順位が高くない飼育動物では、代表格の犬や猫でさえ、この感染症との関わり合いにおいて、分からないことが何なのかがまだ分からないというレベルでしょう。

こうした情報不足の状況や、深刻度がそうさせるのかどうかは不明ですが、震源地の中国では、感染を恐れるあまりに犬猫などの遺棄や殺害が相次いでいる、という悲しいニュースが連日のように入ってきています。

また、真偽のほどは定かではないですが、香港で新型コロナウイルスに感染した飼い主の飼育している”犬のウイルス検査”をしたところ、”弱い陽性反応”が検出されたといういう報道が2/28に入ってきました。
※犬の腸内には通常でもコロナウイルスが存在しますが、どういった検査方法でそれが新型コロナウイルスであったと判断したのかを含めて続報はありません。

感染症の蔓延という緊急事態による社会的な混乱に際して、身近な動物たちをどのように扱うのか?
こうした問いに対して極論で考え、行動しなければならないほど、彼の国では切迫した事情があるのでしょうが。。。社会体制、文化が大きく違うとはいえ、我が国でも明日は我が身となり得る問題を孕んでいます。

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ここで、まずコロナウイルスとはなんなのか?ということから整理していきたいと思います。

コロナウイルスと聞くや否や、新型コロナウイルス?と眉をひそめるような雰囲気がすっかり定着してしまいましたが、コロナウイルス自体は新たに発見された特殊なウイルスというわけではありません。

もともと自然界にありふれたウイルスであり、人類だけではなく野生動物や家畜、飼育動物などあらゆる動物に分布し、様々な感染症の原因となっています。犬や猫の正常な腸内にもよく見られるウイルスなのです。

人間に感染するコロナウイルスはすでに人類に蔓延している、誰しも経験のある風邪の原因ウイルスとして4タイプが知られています。
風邪の原因の一割ちょっとがコロナウイルスによるものであり、多くは軽症です。これらは冬季に感染のピーク迎えます。

加えて、2002年~の「中国広東省」発の重症急性呼吸器症候群(SARS、サーズ)や2014年~中東発の中東呼吸器症候群(MERS、マーズ)の原因となり、世界的に大問題となった動物由来の2タイプのコロナウイルスが知られています。
今回問題になっている「中国武漢発」の新型コロナウイルスは、人間に感染する7種類目となりました。

近年発生したこれら3タイプの動物由来のウィルスは、今回の「新型肺炎」も同様にいずれもを強く侵し、重篤肺炎を起こすことから、もともと人に感染して風邪を起こすコロナウイルスよりも重症度致死率が高くなっています。

こうした病原性の強いコロナウイルスは家畜や野生動物などを介して人類に伝搬されてきたものです。2002年のSARSも2014年のMERSも今回と同様に新型コロナウイルスとして人類が接触したことのない(免疫を持たない)コロナウイルスとして流行を起こしました。

近年、繰り返される新興のコロナウイルス感染症エボラ出血熱などに代表される動物由来の感染症のことを人獣共通感染症といいます。

国立感染症研究所のHPに解説がありますのでご興味のある方はご覧ください。
>コロナウイルスとは

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※写真と模式図は国立感染症研究所のHPより転載しています。

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一方、牛、豚などの家畜やコウモリをはじめとする多種多様な野生動物、動物医療の対象となるような飼育動物の猫、フェレットなどにもそれぞれの種に固有な、様々な種類のコロナウイルスが存在します。

病原性を持つコロナウイルスとして、猫での致死率の極めて高い猫伝染性腹膜炎ウイルスFIPV)が有名であり、犬で腸炎をおこす犬コロナウイルスは混合ワクチンに含まれております。
また、フェレットでは2種類知られており、それぞれ流行性カタル性腸炎(ECE)と呼ばれる腸疾患フェレット全身コロナウイルス(FRSCV)関連疾患の原因ウイルスとして知られています。

一般的に、コロナウイルス種特異性は高く、種の壁を越えて他の動物に感染することは殆どないとされております。

チョコレート中毒

2月14日、今年もバレンタインデーがやってきました。。。

例年通り、心のこもったものからそうでないものまで、悲喜こもごものチョコレート贈呈式が全国で繰り広げられることと思われます。
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この時期に家庭内で多発する犬(まれに猫)の中毒として「チョコレート中毒」はあまりに有名です。
”犬の飼い方”的な書籍やSNSなどネット情報でも、注意すべき中毒として筆頭に取り上げられていますので、多くの方はよくご存知ではないでしょうか。

チョコレート中毒チョコレートココア、それらが含まれた”加工食品”にさまざまな割合で含まれる「テオブロミン」の過剰摂取により起こります。

このテオブロミンは、皆様がよくご存じのカフェインと似た物質で、植物由来の化学物質(ファイトケミカル)として、モルヒネコカインなどの麻薬と近縁の関係にあり、
呼吸器心臓筋肉に対して強い「興奮作用」を持っています。

テオブロミンチョコレート、その原料のカカオマス(カカオ豆)に多く含まれます。また、昔の”コカ・コーラ”エキスの原料として知られるアフリカ原産の”コーラ”という植物の実や、”強壮剤”として有名なガラナの実、茶葉にも含まれています。

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ところで、このテオブロミンですが、なぜ人間は大丈夫なのに犬は中毒を起こしやすいのでしょうか?

それは、犬ではテオブロミンの分解と排泄にとても時間がかかるため、容易に体の許容量を超えて蓄積してしまうためです。

チョコレート中毒の表れ方は様々です。
下痢、嘔吐、発熱、興奮、頻脈、不整脈、多尿、ふらつき、パンティング(息が荒くなる)、腹痛、けいれんなど多岐にわたる症状を示します。

摂取量が多い場合にはさらに昏睡状態から死に至ることもあります。

チョコレート中毒は誤食後の6~12時間程度で中毒症状が現れます。

犬は人間よりもテオブロミン代謝・排泄に時間がかかるため、チョコレートを食べてから24時間程度は中毒が起こる危険性があります。つまり、食べてしばらくして何もないからといって安心は出来ないのです。

では、チョコレートはどのくらい食べると危険なのでしょう?

テオブロミンの中毒量にはそれぞれ個体差があります。
その致死量は体重1Kg当たり
犬では100~200mg、猫では80~150mgであるといわれています。
20mg/kg程度から興奮などの軽度な異常がみられ、60mg/kgで痙攣などの強い症状が起きる可能性があります。
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意外に思われるかもしれませんが、大型犬は小型犬よりもチョコレート中毒の発生リスクが見かけ上少なくなることはご存じでしょうか。
一般家庭のテーブルの上にミルクチョコレートが10枚も20枚も置いてあることは通常ないのがその理由です。つまり、大量に食べる必要があるためです。

一方で、小型犬や小型化が著しいトイ種のような2キログラム以下の超小型犬種では特に中毒の発生リスクが高くなります。これは、大型犬とは逆の理由です。
体重が少ない方が中毒量に至るテオブロミンを一気に摂取してしまう機会が多くなります。

つまり、動物を取り巻く生活環境の影響により、チョコレート中毒は犬の体格が小さいほど、より致死率が高くなる傾向があるのです。

また、チョコレートに含まれるテオブロミン含有量は製品には詳しく記載されていないこと、さらにチョコレートの種類によっても大きな差があるということが、誤食の場合の不安を煽る結果となります。

チョコレートを含む加工菓子ではメーカーの相談窓口に問い合わせても、カカオマスの量も不明または即答できないということがほとんどであり、公的サービスの「中毒110番」でも同様です。(※)
つまり、消費者レベルでの危険性の判定が難しく、飼い主さん自らがその判断を迫られます。

(※)「中毒110番」は人間用のサービスであり、飼育動物に関しては本来は対象外です。

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もし、誤食してしまった場合のざっくりとした目安ですが、チョコレート類の1グラムに含まれているテオブロミンは下記の通りです。

・製菓用チョコレート :15mg前後
・ココアパウダー   :5-20mg
・ダークチョコレート :5mg前後
・ミルクチョコレート :2mg前後
・ホワイトチョコレート:<0.05mg

よくあるミルクチョコレートの板チョコで換算すると、1枚で約55gとしてメーカーによっても異なりますが、だいたい110~120mgのテオブロミンが含まれます。

つまり、体重5kgの犬ではミルクチョコレート5枚ほどで致死量レベルに達するということになります。

ダークチョコ.jpg
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チョコレートを誤食したという訴えで来院する患者さんの多くは、摂取量が少なかったり、もともとカカオ含有量の少ないチョコレートや菓子類の誤食であったり、結果的にはテオブロミン中毒量にまで至らならないケースが多いものです。
例えば、ミルクチョコレートや”チョコレート風味”の加工菓子類はカカオ含有量がもともと少ないため、ある程度食べても治療の必要性ないものものがほとんどです。

一方で、カカオ含有量の極めて多いダークチョコレート、「製菓用のチョコレート」やそれをふんだんに使用したホームメイドのチョコレートケーキなどの誤食には特に注意が必要です。
また当然ですが、カカオ含有量の少ない製品でも”大量”に食べてしまった場合も同様です。

チョコレート中毒を起こすテオブロミンの過剰摂取に対しては有効な”解毒薬”はありません。つまり、体に吸収される前に除去しなければならないため、中毒を回避する処置には時間制限があります。

まだチョコレートを含む食事内容がまだ充分に胃内にあると考えられる、数時間以内の段階で除去することができるならば、摂取量によらず経過は良好です。
もし、中毒量に近いチョコレートを食べてしまったと思われる場合には、あまり時間をおかずに早急に動物病院にご相談ください。

それでは、楽しいバレンタインデーを。。。ワンコのいるご家庭ではくれぐれもご注意ください。

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文責:あいむ動物病院西船橋
   病院長 井田 龍

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