お散歩中に見かける
「大きな白いキノコ」にご注意ください
〜 オオシロカラカサタケと犬の中毒について 〜
夏の終わりから秋にかけて、ワンちゃんのお散歩コースの公園や空き地、芝生、道路脇、庭などに、大きな白いキノコがまとまって生えているのを見かけることがあります。
最近、千葉県内でも目にする機会が増えているキノコのひとつが、オオシロカラカサタケです。
白~灰白色の大きな傘をもち、中央付近が茶色く、成長すると傘が大きく平らに開きます。芝生や草地に数本まとまって生えることも多く、犬のお散歩コースに突然現れることがあります。
オオシロカラカサタケは毒キノコです。
人だけでなく、犬が食べた場合にも中毒を起こすことが知られています。
※キノコは外見だけで完全に種類を判別することが難しいため、白く大きなキノコを見つけても、自己判断で食用・無毒と判断しないことが大切です。
「オオシロカラカサタケ」とは?
オオシロカラカサタケ(Chlorophyllum molybdites)は、もともと暖かい地域に多くみられる大型のキノコです。
以前は日本でも比較的暖かい地域を中心に知られていましたが、近年は関東地方でも普通に見られるようになり、分布が北へ広がっているとされています。
特に、
- 芝生
- 公園
- 庭
- 道路沿いの草地
- 刈草や腐葉土など有機物の多い場所
などに発生しやすく、気温が高く、雨が続いた後などに突然まとまって出てくることがあります。
千葉県内でも近年、公共施設や公園などで発生が確認され、注意喚起が行われる例があります。
犬が食べるとどうなるのでしょうか?
オオシロカラカサタケによる犬の中毒は、実際に報告されています。
主に問題となるのは消化器症状です。
食べた後、比較的早い時間帯、一般には数十分~数時間程度で、
- 嘔吐
- 下痢
- よだれ
- 腹痛
- 元気消失
- 食欲低下
などがみられることがあります。
摂取量が多い場合には、激しい嘔吐や下痢によって脱水が進んだり、ときには血便を伴ったりすることもあります。
多くの場合は適切な治療によって回復しますが、小型犬、幼齢犬、高齢犬、持病のある犬では、嘔吐や下痢による脱水や電解質異常が大きな負担になることがあります。
また、「どのくらい食べると中毒になるのか」という犬での明確な安全量は分かっていません。
そのため、
「一口だけだから大丈夫」
「少し舐めただけだから問題ない」
とは言い切れません。
触っただけでも危険なのでしょうか?
ここは飼い主さんからよくご質問をいただく部分です。
オオシロカラカサタケは、触っただけで中毒を起こすタイプのキノコではありません。
犬が横を通ったり、体が少し触れたりしただけで中毒になる可能性は低いと考えられます。
問題になるのは、基本的にキノコそのものを口にすることです。
ただし、オオシロカラカサタケは大きく成長すると非常にもろく、踏まれたり蹴られたりすると簡単に崩れます。
そのため、散歩中には、
- 落ちている破片を拾い食いする
- 崩れたキノコを舐める
- 足裏についた大きな破片を帰宅後に舐める
といった状況には注意が必要です。
キノコが崩れた後の「土」も危険なのでしょうか?
「キノコを踏みつぶしてしまった場所は、土まで毒になるのでしょうか?」
という心配もあるかと思います。
現時点では、オオシロカラカサタケの毒が土壌に長期間蓄積し、その土を踏んだだけで犬が中毒するという性質は知られていません。
注意するべきなのは、土そのものよりも、
土の上に残っているキノコの傘・ヒダ・柄などの破片
です。
つまり、
キノコ本体 > 大きな破片 > 細かな破片が残った場所 > キノコを取り除いた後の通常の土
という順で注意すると考えると分かりやすいでしょう。
目に見えるキノコの破片をきれいに取り除けば、通常は土を大きく掘り返したり、入れ替えたりする必要はありません。
ご自宅の庭や散歩コースに生えていたら
犬が通る場所にオオシロカラカサタケと思われるキノコが生えていた場合は、傘が大きく開く前に取り除くことをおすすめします。
手袋をして、できるだけ柄の根元から回収してください。
崩れてしまった場合には、目に見える破片も一緒に拾い、袋に入れて処分します。
特に避けたいのが、キノコが生えたまま
芝刈り機や草刈り機で細かく砕いてしまうこと
です。
細かな破片が広い範囲に飛び散り、犬が拾い食いする可能性がかえって高くなります。
まずキノコを回収してから草刈りを行う方が安全です。
キノコを取り除いても、また生えてくることがあります
地上に見えているキノコは、菌そのものの一部分です。
土の中には「菌糸」と呼ばれる部分が広がっているため、地上のキノコを抜いただけでは完全になくなるわけではありません。
特に、
- 気温が高い
- 雨が続く
- 土が湿っている
- 枯草や落ち葉が多い
- 腐った木や木の根が地中に残っている
といった場所では再び生えてくることがあります。
そのため、犬がよく通る場所では、雨が続いた後などに定期的に地面を確認して、出てきたら早めに回収することが現実的な対策です。
庭全体に消毒薬や殺菌剤をまく必要は通常ありません。
犬がキノコを踏んでしまった場合
足裏にキノコの破片が目立って付着している場合には、水で洗い流すか、濡らしたタオルなどでよく拭いておけば十分です。
特別な消毒薬を使用する必要はありません。
特に、帰宅すると足をよく舐める犬では、念のため足裏を確認するとよいでしょう。
もし犬が食べてしまったら
オオシロカラカサタケ、あるいは種類の分からないキノコを犬が口にした場合には、症状が出るまで待たず、できるだけ早く動物病院へご相談ください。
その際、
- キノコ全体の写真
- 傘の表側
- 傘の裏側
- 柄
- 生えていた場所
などをスマートフォンで撮影しておくと、キノコの種類を推定する手掛かりになります。
安全に持参できる場合には、残っているキノコを袋などに入れて持参することも診断の参考になります。
一方、家庭で無理に吐かせることはおすすめできません。
塩やオキシドールなどを使った自己流の催吐処置は、別の中毒や消化管障害を起こす危険があります。
お散歩中は「白く大きなキノコ」に少し注意を
オオシロカラカサタケは、以前は比較的珍しいキノコという印象がありましたが、近年では関東地方でも見かける機会が増えています。
特に犬にとっては、芝生や道路脇など鼻を近づけやすい高さに突然現れるため、意外と身近な誤食リスクになります。
ただし、必要以上に恐れる必要はありません。
見つけたら近づかせない。
自宅周辺なら早めに回収する。
崩れた場合は目に見える破片を取り除く。
食べてしまった可能性があれば早めに動物病院へ相談する。
この4点を覚えておけば、十分に対処できます。
秋のお散歩では、足元の草や植物だけでなく、突然生えてくるキノコにも少し注意してみてください。
動物病院からのお願い
散歩中に種類の分からないキノコを食べてしまった場合は、キノコの写真を撮影したうえで、できるだけ早めにご連絡ください。
すでに嘔吐、下痢、よだれ、元気消失などがみられる場合は、食べた量が少なそうに見えても受診をご検討ください。
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~ 現担当医のご紹介 ~
■ 須永 駿(すなが しゅん)
麻布大学獣医学科卒業
■株式会社Cor VET JAPAN
>CorVET JAPAN(Instagram)
■伊勢崎動物医療センター循環器科
>伊勢崎動物医療センターHP

■ ごあいさつ
循環器内科を担当しております須永と申します。
大学卒業後、動物病院で勤務している際に循環器疾患に興味をもち、現在では循環器疾患に特化した診療を行っております。
循環器疾患は主に心臓の病気を指し、わんちゃんであれば僧帽弁閉鎖不全症、ねこちゃんであれば肥大型心筋症が最も多く見られる病気です。心臓は肺や腎臓、甲状腺などの臓器とも密接に関わっており、ひとりとして同じ状況の子はいません。
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