動物の病気

ニキビダニ(毛包虫)症

>>>犬のニキビダニ(毛包虫)症とは?

ニキビダニ(Demodex spp.)ニキビダニデモデックスアカラスなど様々な呼び名を持つ、私たち人間を含む哺乳類の皮膚に常在しているダニの一種です。通常は皮膚の毛包内で穏やかに生活し、皮膚構造を破壊することはありませんが、様々な要因により過剰に増殖して皮膚炎を起こします。
ニキビダニの体長は0.3mm前後と非常に小さいため、直接目で見ることはできません。ニキビダニ成虫顕微鏡検査で下の写真のように見えます。

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そのライフサイクルは、雌の成虫が未成熟卵を産出し、孵化した幼虫は三回の脱皮を経て前若虫若虫、雌雄の成虫へと発育します。感染能力を持つのは若虫および成虫であり、宿主から離れると室温で最長7日程度、5℃では11日程度生存すると言われています。

複数種のニキビダニが見つかっていますが、犬猫で現在正式に記載されているのはそれぞれ二種類です。宿主特異性が高く、種を超えて例えば飼い主さんに感染するなどということはほとんどありません。

 

>>>犬のニキビダニ(毛包虫)症の原因は?

ニキビダニは様々な原因による宿主免疫力低下をきっかけに増殖を始め、皮膚炎症、脱毛、発疹など毛包を中心とした皮膚病を起こします。こうして発生した皮膚疾患ニキビダニ症(毛包虫症; Demodicosisと呼びます。

発症の原因は、若齢犬と老齢犬では大きく異なります。前者ではまだ免疫機能が未発達のために起こり、後者では老化による免疫機能の低下や、ほかの病気に続発して起こることが多くみられます。例えば腫瘍クッシング症候群甲状腺機能低下症のような内分泌疾患、その他さまざまな慢性消耗性疾患免疫抑制作用を持つ薬剤の長期使用などが原因となります。

そのほか症状の悪化させる要因としては、舐めたり引っ掻いたりする自傷行為栄養不良消化管内などの内部寄生虫疾患ストレス発情ワクチン接種など、いずれも身体の免疫皮膚バリア機能に関係するものが挙げられます。

 

>>>犬のニキビダニ(毛包虫)症の症状は?

若齢犬でのニキビダニ症は、生後18ヶ月未満の犬での発症をいいます。症状は比較的軽く、四肢や背中などに小さな脱毛や落屑(フケ)、発疹が出るなど局所的なものがほとんどです。また、成長して免疫機能が整うとともに、症状も軽快していく場合が多いです。

一方、成犬になってからの発症症状が重く、全身に波及した皮膚病が重篤化することも少なくありません。四肢や体幹部に発疹が多発し、強い毛包炎から血液の混じった「牡蠣の殻のようなカサブタ」を生じ、痒みや痛みを訴えることもあります。また、皮膚の深部に強い炎症細菌感染が起こる「せつ腫」という状態を起こすこともあり、強い痛みを伴います。

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>>>犬のニキビダニ(毛包虫)症の診断は?

ニキビダニは肉眼では発見できないため、きちんとした検査をしなければ他の皮膚病と区別がつきにくい病気です。ニキビダニは主に毛包の中に存在するため、皮膚表面だけの検査ではなかなか発見することができない場合もあります。

方法はいくつかありますが、よく行われる「掻爬検査(そうはけんさ)は、皮膚の表面を鋭利なもので削り、採取したものを顕微鏡で観察するものです。毛包からニキビダニを絞り出すように皮膚をつまみ、血が滲む程度までしっかりとした掻爬をする必要があります。

この検査が困難な部位に病変がある場合は、病変部分の毛を抜き、毛の根元にダニが付着ていないかを観察する「抜毛検査(ばつもうけんさ)もあります。基本的にこれらの検査でおおむね診断が可能ですが、中にはこうした診察室での検査ではニキビダニが検出されない例もあります。
そのような場合には、皮膚の一部を切除し、病理組織学的検査を実施する場合もあります。皮膚を直径6㎜の円形にくくり抜くことの出来る「パンチ生検」にて充分な量の採材を行うことができます。

 

>>>犬のニキビダニ(毛包虫)症の治療は?

激しいニキビダニの増殖は、時に破壊的で難治性の皮膚病変をつくり出します。また、アトピー性皮膚炎食物アレルギー細菌性皮膚炎(膿皮症)を併発することも多く、ニキビダニ駆虫以外にこれらも合わせて治療していく必要があります。

ニキビダニ駆虫薬には、フィラリア予防にで代表的なイベルメクチンなどのアベルメクチン系薬物や類似薬物のミルベマイシンオキシムなどが使用されます。ニキビダニ症治療の場合フィラリア予防の数十倍以上の多量の駆虫剤を使用する必要があります。これは皮膚表面近くの毛包に存在するダニには剤が届きにくいため、高濃度かつ頻回の投薬が必要になるためです。
注射薬内服薬を組み合わせ、少なくとも数か月以上の治療期間を要することと、治療の中止や薬剤の減量によって再発する可能性もあり、長期の治療が必要になることもしばしばです。

また、コリー種など特定の犬種によっては薬剤副作用が強く出てしまい、こうした薬剤が使用できない場合もあります。このような場合には、薬剤が使用できるかどうか遺伝子検査などの事前検査を行ったり、副作用の出にくい他の薬剤を選択しなければなりません。

二次的細菌感染の管理には、数週間の抗生物質の服用を行います。同時に、高濃度クロルヘキシジン過酸化ベンゾイル硫黄サリチル酸を含むシャンプー剤を使用し、感染脂漏の両方をコントロールして毛包内の環境を改善することが大切です。

2016年にスポットオン・タイプのノミ・ダニの予防薬として国内で発売され、まだ効果効能の承認は受けていないもののニキビダニへの効果がみられると報告されている薬剤があります。(フルララネル、商品名ブラベクト、MSD
この薬剤は他の重篤な疾患を抱えている老齢犬や、上記の治療薬で効果が認められない、または治療薬の服用が困難などの場合、従来の治療に代わる選択肢の一つとなる可能性が期待されています。(下写真)

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>>>犬のニキビダニ(毛包虫)症の予後は?

若齢犬のほとんどは症状も軽く、治療への反応も良好な場合がほとんどです。成犬でも治療によってし完治に至ることは多いものの、全身性のニキビダニ症へと波及してしまうと治療が難しくなる場合もあります。また、一旦寛解(かんかい、症状がみられなくなること)ししても、再発してしまうこともしばしば経験します。

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文責:あいむ動物病院西船橋 獣医師 宮田 知花

2016.05.04

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