船橋、西船橋にある動物病院です   診療内容 犬、猫、フェレット、ウサギ、ハムスター。その他の動物についてはご相談ください

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「ノギ」、恐るべし異物

今回のテーマは動物を襲う植物(ノギ)に関してのものです。植物が動物を襲うって!??もちろん、SFの中でのように食虫植物のようなものが襲ってくるようなものでは決してありません。。。

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ところで、"ノギ" って何でしょうか?

(ノギ、「ぼう」とも)は、コメムギなどイネ科の植物の小穂を構成する鱗片()の先端にある棘状の突起のこと (Wikipediaより)

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「ノギ」を生やす植物は空き地にいっぱい。幼い頃に草むらで転げまわった後などにパンツの中でチクチクした記憶がよみがえる方も多い?のではないでしょうか。もちろん、ここではワンちゃんの散歩後に毛にくっついてなかなか取れない、アレの方が一般的なイメージかもしれませんが。。。

とにかく服や被毛に引っかかると、取れにくいものです。そんな理由もあるのでしょうが、イネ科の植物はその優れた種子の運搬能力により空き地や荒れ地でその繁栄を謳歌しています。

ところでこのノギですが。。。人にとっては生活する上での単に「迷惑な存在」に過ぎませんが、犬にとっては安全なはずの生活に突然現れる重大な脅威、いわば天敵となり得ます。

以下、ノギが原因となった3つの事例、プラス番外編1つをご紹介したいと思います。

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パート1、「こんなところから、ノギ?!」(足先、皮膚編)です。

上の写真は「よく理由がわからないけど、両前足の指の間から血がでてきて、とても気にしているんです。」 ということでいらした患者さんです。

確かに、指のマタの部分から出血していて、とても気にして舐めていることが容易に想像できる状態です。実は指間のこういった病変は比較的よく見られる皮膚の異常です。(以下の写真は少々刺激があるかもしれません。)

”ハイ、これは舐めすぎによる指の間の皮膚炎ですね。だいぶ膿んで腫れてますから抗生物質と消炎剤を出しておきますので、絶対に舐めないようにして一週間くらいしたら、またいらしてください”という治療パターンに見事に当てはまります。

一週間後。。。「あまりよく治りませんけど。。。」ということで、再び患者さんが来院しました。

内心は”ナニ?ナオラナイ?ぺろぺろと舐めてたんじゃないんですかい?”とあらぬ疑いをワンちゃんにかけてしまいがちなシチュエーションなのですが、よく見てみると。

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ぜんぜん、治ってない。しかも、両足の指の間の皮膚に穴が開いてる!

ん?何か出てきたぞ。(下写真)

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うぁあ、ノギ!?(しかも両側から!!!)

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上の写真が両足の指の間の皮膚から同時に摘出されたノギです。

ちょっとわかりにくいので推論を交えた解説をします。

ワンちゃんが草むらを走り回った際に、偶然にも両足の第3-4指間で同時にノギを踏み抜いてしまったようです。刺入した足裏の皮膚は数日で治ってしまいそのまま内部にノギが残されました。

こういった場合、体がすぐに処理できない異物は一旦体の内部に埋め込まれる形で周りを炎症組織が囲みます。これを肉芽腫といいますが、こういった場合、小さなものでは体内でゆっくり処理されて吸収、ないし隔離されます。

しかし、今回のこのノギはワンちゃんの処理能力には大き過ぎました。皮膚にはこのような大きな異物を分解処理する仕組みがありません。その後しばらくしてノギの周りが化膿組織が壊死を起こして、刺さった場所の反対側から左右同時にノギが飛び出てきたという珍しい形で病気が見つかりました。

もちろん、ノギを取り出した後、1週間程度で酷かった皮膚病がスッキリと治ったのはいうまでもありません。

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「こんなところにノギ!?」。。。パート2(眼球編)です。

「散歩の時に眼に何か刺さって、取れません!」とあわてた飼い主さんがわんちゃんを連れて来院しました。診察してみると、結膜に何やら刺さっているようです。一見したところ虫のようにも見えるのですが、ものすごく痛いらしく、嫌がって頭をぶんぶん振るため、なかなか確認することができません。

点眼麻酔で目の痛みを抑えた後、よくよく見てみると。。。

なんと「ノギ」の根元が結膜に見事に刺さっています。洗浄したり、引っ張ってみましたが、取れません。どうやら根本が釣針のように引っかかっているようです。(写真、矢印)

こういった場合、力任せに無理やり引っ張ってしまうと強い痛みや出血を起こす可能性がありますし、場合によっては「ノギ」の一部を結膜の中に残してしまうリスクがあります。

そこで、飼い主さんと相談して、鎮痛・鎮静剤で痛みとコワイのを抑えつつ、ウトウトしているうちに結膜を小さく切開して取り出すこととしました。

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無事に取れた「ノギ」が下の写真です。

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さて、無事に原因となるものを取り去ったものの、わんちゃんはまだ目をしぱしぱとさせています。角膜に問題を起こしている可能性がありましたので、検査してみるとノギ”の"穂”による角膜の大きな傷、角膜潰瘍が見つかりました。角膜潰瘍とは角膜の何層かがごっそりクレーター状に剥げ落ちるもので1週間くらい痛みが続きます。

結局、このわんちゃんはノギによる後遺症で2週間ほどの治療を要しました。

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こんなところにもノギ!?。。。」パート3(耳道編)です。

「散歩で草ムラで遊んだ後に急に様子がおかしくなった。」という、わんちゃんが慌てた飼い主さんとともに来院いたしました。

さて、診察室では。。。わんちゃんは頭をブンブンと振って、かなり辛そうです。時折、後ろ脚で声をあげながら片方の耳を描こうというしぐさをしています。

これは明らかに耳に何か入ったかな?という状況ですが、ワンちゃんも興奮して、とても耳の奥まで見せてくれる状況ではありません。迂闊に顔を近づければ大ケガです。

相当辛かったことでしょう。ワンちゃんの耳介は後ろ足で激しく掻いたせいで、腫れあがって出血しています。このままではどうしようもありません。これは困った。。。

飼い主さんにはこのままでは、検査も治療もできない旨をお伝えし、緊急で麻酔下内視鏡検査と処置を行うことになりました。

しばらくして麻酔でおとなしくなったワンちゃんの耳道の入り口(垂直耳道)が観察できるようになりましたが、そこには何もありません。さらにその奥、水平耳道までスコープを進めてみると。。。

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上の写真では右上に鼓膜、10時から4時方向に何か見えます。どうやらノギのようですね。画面では見えませんが奥の方で何やら引っかかっています。

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ノギにはたくさんの突起が杭のように生えています。このため、耳道のような狭い空間ではあちこちに引っかかり非常に取りにくいことがあります。

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ようやく引っ張り出すことができました!上の写真が摘出されたノギの写真です。

幸いなことにノギによる耳道鼓膜の損傷もなく、無事に麻酔から覚めたワンちゃんは先ほどまでの苦痛はどこへやら。ときどき耳をパタパタさせていますが、何が起こったの???という顔をしています。とりあえず一件落着です。

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以上のまとめです。。。

「ノギ」は体の中に取り込まれてしまう異物としての振る舞いが問題となるのですが、特にそれが目や耳など、敏感な部位に侵入した場合、直接の刺激や二次的な損傷による強い痛みなどの不快感が激しくなりがちです。

比較的遭遇しやすい場所は皮膚、目、耳道、鼻腔、気管など上気道ですが、もちろん、外界と接する体表や粘膜全ての場所でその可能性があります。

さらに、飼い主さんが異常に気付かない場合や症状があっても外から観察できない部位であったり、ノギが突き刺さったまま、体本来の仕組みで除去されない場合は。。。発見が遅れて重症化したり、慢性化して難治性となることも多いものです。

このようにたかがノギですが、それが引き起こす問題は時に複雑多岐に渡り、診断はもちろん、治療する上でも獣医師泣かせで厄介なシロモノなのです。

飼い主の皆様方。草むらや公園など植物の多い場所でのお散歩は転げ回ったり、茂みに顔を突っ込んだり、ワンちゃんにとって何よりも代えがたい喜びのひとつではないでしょうか。これはそんなワンコと一緒に散歩する飼い主さんにとっても同様ですよね。

ワンちゃんのお散歩の楽しみを奪うことはできません。。。ですが、このノギの危険性についてご記憶いただいて、緑多い場所でのお散歩の際にはくれぐれもご注意ください。

長くなりましたが、最後に以下、番外編(パート4)のご紹介でこのコラムを終えたいと思います。

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「こんなところにもノギ?!かな?」。。。パート4(番外編)

「植え込みに顔を突っ込んだ後にキャンキャンと叫んで、目が開かない。」という訴えのワンちゃんが散歩を一緒にしていたお父さんに付き添われて緊急で来院いたしました。

一見して、ものすごく痛いらしく、鳴き叫んで診察室内ではちょっと手がつけられない状態です。片目を完全に閉じており、瞼はピクピクと痙攣(眼瞼痙攣)しています。目がかなり刺激されているようで、大量の涙が周囲の毛を濡らしています。

これは非常に強い目の痛みを予想させるもので、やはりちょっとそのままでは眼の中の観察が出来そうにありません。そこで、多分に漏れず、鎮静剤を用いて、ちょっとウトウトしてもらってから詳細な観察をいたしました。

まず、静かに寝ているワンちゃんの目を開いてみましたが、なんと何も見当たりません。さてと、これはには困りました。症状からは何か異物が入っているとしか思えないのですが。。。

ところで、犬には下眼瞼の内側、目頭の部分に瞬膜(第三眼瞼)という膜状の構造があります。眼球と瞬膜に挟まれた狭い空間には深い懐があります。この場所に異物が入っていることも多いので、生理食塩水で洗い出してみることにしました。生理食塩液を注入すると、下の写真のように何か、虫のようなものが飛び出てきました。。。うわ、なんだこれはという感じです。

ピンセットで引っ張ってみると、驚いたことにどこにそんなものが入ってたのか一本の虫のような繊維がツルツルと出るわ出るわ、患者さんには申し訳ありませんが、さながらマジックショーのよう。

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採取された繊維状のものの長さはなんと7.6cmもありました。よくこんな長いものが瞬膜の(眼頭の奥の方)に折りたたまれていたものですね。驚きました。

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後ほど、このヒモ状のものをよくよく見てみると、なんと、”ノギの穂”が全部取れた後の”茎”のようです。ノギという武器を失ったにもかかわらず、隙あらばワンコを攻撃する執念のようなものさえ感じますね。。。

まさに、ワンコの天敵、「ノギ恐るべし」です。

飼い主の皆様方、草ムラでのお散歩はくれぐれもご注意ください。。。

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文責:あいむ動物病院西船橋 病院長 井田 龍

複数の異物が絡み合う腸閉塞、猫編

猫の嗜好を刺激するいろいろなおもちゃ、愛猫家なら一度は手にしたことはあるものではないでしょうか。

その中で、猫の狩猟本能を最大限に刺激するもののひとつが「ネズミ型のおもちゃ」です。このおもちゃ、その魅惑的な姿形と動きが猫を誘惑するだけではなく、胴体内部にさらにソレを増幅する”マタタビ”が仕込んであるという優れものです。
猫のおもちゃを選ぶ消費者としては、よく考えられている製品だと思うのですが、その優れた商品力が猫にとって仇となることがあるのです。

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このネズミさん、猫ちゃんにとっては一時の至高の時間を与えてくれるスバらしいものですが、その快楽ゆえの大きなリスクが潜んでいます。それは「誤飲事故」です。猫にとって至高のおもちゃが猫キラーに豹変する瞬間です。

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「ネズミのおもちゃ」の誤飲例は後ほど再登場します。まず、猫で起こる誤飲事故って、どんなもの?どうやって診断するの?という諸々を以下でご説明していきたいと思います。

おもちゃをはじめとする多種多様な異物による誤飲(誤食)事故はフェレットで多発いたします。おそらく治療件数ではでのものが異物の種類や件数でその他を圧倒しますが、猫での発生もまた多いものです。

異物誤食より少ないとはいえ、充分に注意を要すべき疾患です。猫では、例えば石やピーナッツのような固形物をそのまま飲みこむようなケースは実はそれほど多くありませんが、「猫用おもちゃ」の単独事故には時折遭遇いたします。

猫でよく問題となる異物は、自らグルーミングした毛玉のカタマリや飼い主さんの髪の毛(特に女性の長いもの)、絨毯や衣類の一部、布やビニール製などヒモ状の異物や、それらが複雑に絡み合って形成された異物が多くみられます。変わったところでは糸の付いた縫い針というのも時々あります。

猫での異物に共通するのは、猫の好きな長いひも状のヒラヒラしたもの、いわゆる「紐状異物」と専門用語で呼ばれる異物やその派生形の範疇に入るものが多くみられる点です。これは猫はヒモ状であるとか布、ウール状の触感や視覚刺激を好む性質に原因しています。

異物誤食よる腸管閉塞は程度の差はありますが、数日で急速に悪化し、症状の発生から一週間以内に対処しなければ生命の危機に直結する可能性を持つほど重大な状態を体にもたらします。ところが、最初に見られる症状は嘔吐、下痢、元気食欲の減退など、よくみられる胃腸炎のような症状でしかないことがほとんどです。

もし、”異物を飲みこんでしまった”、という飼い主さんの訴えがなければ発見が遅れがちになります。例えば異物を飲んだことに気付けなければ、いつのまにか容態が悪化して、初診時からいきなり緊急手術が必要になることも多く、患者さんの状態によっては命懸けになることも決して少なくありません。

我々獣医師は見過ごされがちな嘔吐食欲減退などの消化器症状の中に、その危険な予兆をできるだけ早く捉えて早期に診断する必要があります。つまり、動物の体力がまだ充分に手術に耐えられる段階で治療を開始することが重要なのです。

ところが、消化管内異物が詰まってしまっているかどうか?というのは、実は獣医師にしてみると診断上は非常に悩ましい問題でもあります。まず、症状からは通常の胃腸障害との区別がつかないことが多くみられます。もし、飼い主さんの訴えや身体検査での触診でそれらしい兆候があれば、すぐに腹部食道レントゲン撮影を行います。

レントゲン検査というのは光の代わりにX線を利用して撮影しますので、X線を透過しにくい物質、例えば異物が骨、石、硬いプラスティックや木材などであれば、レントゲン検査で確認することができます。ところが、で多くみられる毛玉やヒモ、ビニール製品などエックス線を通す異物はそう簡単にはいきません。

こういった場合、バリウムなどによる消化管造影を実施いたします。消化管造影を行うと、レントゲン検査で、腸管の運動状態をレントゲン検査で時間を追って順次確認することができます。
造影剤が「写らない異物」に達すると、例えば布であればそこに入り込み、特徴的なパターンを浮かび上がらせて、異物の存在を知ることができます。造影剤はまた「重い液体」でもあるので、消化管異物で完全に詰まってしまっていればそれ以上は流れることはありません。この場合、消化管内異物は同時に腸閉塞診断でもあります。もし、異物が毛玉のような軽いものであれば造影剤によって異物が押し流されて治ってしまう場合もあり、この場合、造影剤は治療薬として働きます。

最近では超音波診断装置の画像向上により、異物超音波検査(エコー検査)でも診断することが可能です。特にではバリウムなどの大量の造影剤を飲ませることが難しいことがよくありますので、造影ができない場合には超音波検査によって診断を行います。
超音波検査は検査者の技術と経験によるところが大きいのが欠点ですが、現在では異物による腸閉塞の確実な診断方法のひとつとなっています。

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さて、冒頭の猫のおもちゃを食べてしまった猫さんのお話に戻ります。

「猫のおもちゃの袋が破れていて、中にあったはずのおもちゃがなくなっている。」という、いかにも異物の誤食が濃厚な猫ちゃんが来院いたしました。飼い主さんの談ではちょっとうずくまって気持ち悪そうにしているということです。

こういった場合、上でご説明したようにまず、単純レントゲン撮影を行うのですが、診察室での触診で、すでに異常が見つかりました。お腹の左前(上)の方に人差し指の先くらいの硬いものが触ります。なくなったネズミのおもちゃ(冒頭の写真)の大きさと硬さから、これが小腸閉塞しているようです。

このように、飼い主さんの訴えとこちらの診断が一致すれば、その後の検査は比較的スムーズに進むものです。レントゲン撮影では案の定、はっきりとは写りません。おそらくこのおもちゃの素材が「塩化ビニール製」であるせいかもしれません。
異物の存在が明らかなため、消化管バリウム検査ではなく、腸閉塞確定診断のために超音波検査を実施いたしました。

超音波検査の結果、小腸に明らかな腸閉塞がありました。こういった場合とにかく早期に、猫ちゃんの全身状態が悪化しないうちに外科手術が必要です。術前検査の結果も良好でしたので、当日中に腸閉塞の解除と異物摘出のための緊急開腹術が実施されました。

こういった早期にスムーズに手術にこぎつけられた場合、緊急手術でもちろん緊張感はありますが、「早く見つかってよかった」という一種の安ど感に包まれるものです。
ところが、そういった雰囲気は早速吹き飛ぶこととなりました。術前検査では1個しか見られなかった異物が2つ、さらにそれらが紐のような構造でつながっているようです。おそらく、エコー検査後にから十二指腸に落ちたのでしょう。手術室には緊張感が高まります。

小腸の2つの異物はそれぞれ、に近い方から十二指腸空腸に2つの腸閉塞を起こしており、各々がを圧迫して鮮やかんピンク色のはずの腸管の色調が赤紫色に変化しています。数日で壊死を起こし小腸に穴が開く恐れがあり、生存にとっては重大な状態です。

さらに2つの異物はひも状の構造でお互いが引っ張り合っている上に、異物の表面がざらざらしているため小腸壁に密着して動きません。こういった場合にはさらに別な部位を切開して、異物をつないでいるヒモ状物を切断してから、各々の異物を摘出しなければなりません。

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写真左側の十二指腸に詰まった異物摘出の最中の写真です。先に摘出した画面右側、空腸閉塞「1匹目のネズミ」に絡みついた女性の毛髪その他が編み糸のようになって20cmほどのひも状になっており、摘出中の「2匹目のネズミ」に絡みついて長い異物となっているのが確認できます。

十二指腸からの「2匹目のネズミ」を確認して、通常であれば摘出して切開した腸管縫合して、手術が一段落するハズです。ところが。。。
ここで、またさらに問題が起きました。どうやら十二指腸の「2匹目のネズミ」を摘出する際に絡みついたヒモ状物がさらに上流の胃内までつながっているようです。こういった場合には、さらに「3つ目の異物」が存在している証拠になります。

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胃内での異物の状態が不明なため、から内視鏡を使って、胃内を検査しているところが上の写真です。内視鏡検査でさらに「3匹目」「4匹目のネズミ」の中に留まっていることが判明いたしました。2匹目と3匹目を十二指腸を経て連続しているヒモ状物を切断して、十二指腸を縫い合わせた後で、内視鏡下でから「3匹目のネズミ」「4匹目のネズミ」摘出いたしました。

このように、異物は複数存在することも多く、お互い絡み合っていることも珍しいものではありません。そのパターンと重症度は様々ですが、この猫ちゃんの例ではなんと、4匹全てのネズミが、から十二指腸空腸の全長30cm以上にわたって飼い主さんの髪の毛と衣類、ビニール製ヒモなどが編み込まれたような異物でつながっておりました。

こういった異物同士がヒモ状物でつながっている場合には、それぞれの両端の異物が振り子状に引っ張り合ってしまい、自然に排泄されることはまずありません。一方が胃内、もう一方が小腸内にある場合、その他にも食道小腸同士など様々ですが、排せつされることなく死に至るほどの危険な異物です。

この患者さんは、”ネズミのおもちゃを食べてしまった”という飼い主さんからの情報があったため、当日の緊急手術ができたこと、結果として紆余曲折しながらも「4匹目のネズミ」までなんとかたどり着くことができましたが、もしそれがわからなかったり、病院に来るのが遅れていたら救うことはできなかったでしょう。

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売れればよしとばかりに、結果として陰で多くの命を奪っているだろうこのような危険な「おもちゃ」が注意書きもなく普通に売られていることには、我々獣医師のような状況を知る者にとっては驚きを禁じえません。人の世界とは異なりますから、潜在的な危険性に対して製造者にも罪の意識は皆無でしょうし、そういった不作為を問われることはまずないでしょう。

このようなおもちゃ類の誤飲事故病院にかかることもなく亡くなる若い猫の死因のそれなりの割合を占めていると思われます。もちろんメーカーに直接こういった情報がもたらされる仕組みそのものがありません。

ペット関連商品では、こういったおもちゃおやつ類など一時、世間を騒がした「こんにゃくゼリー」の比ではないくらい危険なものや、人の食品衛生法ではありえないような食品がペット用としてごく普通に売られています。
誰もそれを咎めることなく、規制されることもない。悲しいかな、動物に対しての事故は一番の被害者である飼い主さんの「自己責任」ということになってしまいます。

ペット用品、くれぐれもご注意をなさってください。

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文責:あいむ動物病院西船橋 病院長 井田 龍

その口コミ、参考になりますか?2

「その口コミ、参考になりますか?」の続きです。。。

唐突ですが、私は1児の父親です。突発的な発熱、おう吐下痢、外傷など、小児科や救急外来によく行きました。小児は体のことを他者に上手く伝えられず、急にぐったりしてしまったりすることもしばしばです。親としては誰しも不安な心理状態になりますから、すぐにでも「いい病院」にかかりたいという心の緊急度と抱える 不安はとても大きいものです。

動物病院へいらっしゃる飼い主さんの心境としては、小児科にわが子を連れていくのに近いということを子供を持って改めて実感しています。以下はその小児科で経験した話です。話の舞台がもし動物病院だったらどうなのだろうか、治療側の言動が必要以上に患者さんをイライラさせていないかと自戒の念も込めて自分の中でよく反芻する出来事のひとつです。。。

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当地、千葉県船橋市では子供の人口増加が続いているせいか、小児科の診療所によっては当日の予約を取ることさえ難しいこともあり、ただでさえ不安な中スタートラインから躓くこともよく経験します。さらに予約といっても時間当たりの「人数制限」のような仕組みも多いですから、診察までかなり待つことになります。

そのようなときに何を思うでしょう。いつになったら呼ばれるかわからない。医療スタッフは一瞥することもないので、「待たせること」に関しては何の配慮もありません。一体何のための予約なんだと不満が沸々とたまりますが、まあ我慢です。当院も予約したにもかかわらず、同様なことでクレームを頂くことも多いのでなんだか身につまされます。。。

その日は待つこと1時間半で診察室に入りました。ぐずる子供を抱えてもうグッタリ、決して気分がいいわけではありません。さらに、入室しても医師は座ったまま無言でパソコン画面を見ています。こちらの挨拶を返すことはおろか、私を見ることさえなく診察は始まりました。もしかしたら「患者をまわす」、ことのに忙しいのでしょうか、その気持ちも分からないではないですがちょっと。。。

子供がぐずって嫌がったので診察しにくそうです。支えようとすると、突然、”そっちじゃない、お父さん。もっとしっかりと押さえてよ!”、 と予想外の言葉を投げかけられました。失礼なお医者さんがいるもんだなと思いましたが、あまりに唐突だったのであっけにとられてしまいました。。。

通院は3度目でしたが、私が連れて行くのは初めてでした。3週間にわたる咳と、膿の混じった鼻水、繰り返す発熱が改善せず心配でしたので、今後の治療方針について聞いてみようというのもありました。医師にはそう申し上げたのですが、「中耳炎があるね。」という独り言のようなつぶやきだけで、私の訴えは意に介していない様子です。

” 先生、初診時からの抗生物質がもう3週間目ですが、効いていないのではないでしょうか?それとゼロゼロと喘息っぽい状態が増えてきたのですが、テオフィリン(気管支拡張薬)とかネブライザー(吸入器)の使用などはどうなんでしょう?”と尋ねました。本来はプロの判断が絶対だと思っておりますが。そのまま診察も終わってしまいそうですので、もちろん抑制的にです。

そんな質問で医師は初めてこちらを見ました。私の顔から靴まで一瞥した後に、一呼吸おいて、”どこで仕入れた知識だかわかりませんが小児学会(?)のガイドラインっていうのがあってね。こういう治療をすることになってるんですよ。”と怪訝な顔をしました。そして最後に、じゃあ、薬変えときますから。それでいいですね!?と、念を押すように告げられて診察は終了しました。今後の注意すべき点、変更した薬に関しての説明などは全くありませんでした。

ところで、いきなりガイドライン?って、普通の患者さんには分かるのだろうか?患者の疑問に感情的にいきなり「印籠」だすとか、厄介払いかな?といろんなことを邪推してしまいます。まあ、それ以上は雰囲気的にもとても聞けませんでしたが、とにかく終始イライラの中での3分程度の短い診察は終わりました。

その後、数日で子供の発熱はなくなり数週間続いていた諸症状は見られなくなりました。あの時ちょっと聞いてておいてよかった、などとも思いましたが、それ以上にその医師には嫌悪感が芽生えましたので私は今後そこの病院には行くまいと心に決めました。

結果的には医師の判断により病状は回復いたしましたが、私は、医師がとるべき最低限のコミュニケーションを怠った。という強い不満を抱きました。

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ところで、上のやり取りでどのくらいのクレームの種が蒔かれたのでしょう?「結果的」に治りましたが、そうでなかった場合はどうでしょうか?

何らかの不満に対して、それをクレームとして主張するか否かは個々のパーソナリティや心理状態でまさに十人十色ではないでしょうか。私はあまり不満を口に出さないタイプなので、この時点でいわゆるサイレントクレーマーになってしまったようです。これは典型的な「日本人気質」に最も多いパターンです。

その場で積極的に主張することはありませんが、もし、このような心理状態で、匿名で無制限に批判できる医療系口コミサイトを見つけた場合、どんなことが予想されるでしょう?そういった場があれば、上記のやり取りに関する不満を「少々お行儀のよくない表現」で投稿して、仕返しとして拡散することで溜飲を下げることができるかもしれません。

ところが、そんな鬱憤を解消する場はどうも存在しないようです。そればかりか、上記の小児科の医療口コミ系ポータルサイトの評価は、「よい」という意見で埋め尽くされているではありませんか。ポリシーを見たところ、否定的な口コミは排除される仕組みです。おまけに、過度のクレーム投稿に対しては何らかの法的制裁がある可能性の注意がしっかり出ています。。。

人の医療機関の口コミサイトなどのポータルサイトでは若干の違いはありますが基本的にプラスの口コミ情報により医療機関を評価、選択することが前提となっています。いずれも、恣意性が強かったり悪意を感じるような意見には制限がかかる仕組みになっています。これは正当なマイナスの意見を封じて無分別に医療側を守っている側面も否めませんが、

私は医療口コミの特性を考えると、消去法的には最適な判断だと思っています。

ここで冒頭の小児科の医師の立場になって考えてみました。適切な治療をするために最低限の3分ちょっとの診療で一時間当たり15件前後と忙しい現実があります。そんな環境で治療以外に関わっていたら診療はどんどん引き伸ばされていくでしょう。
もちろん医師によっての個人差はあるでしょうが、こういった現場では患者の気持ちとか満足度などというものはあくまで枝葉の部分であり治療とは直接関係ないことなのでしょう。

一方で、私が訴えた不満は突き詰めると医療とは関係のない問題です。つまり、「予約制なのに待たせる」、「医師の態度や物言いが横柄」、「質問に真摯に答えない」等の不満です。これは一般社会の常識から外れるもので、確かにケシカランことでしょうが、医師の立場からみたら医療に感情を持ち込むなんてケシカランのかもしれません。そういったものは医療の本質的な問題ではないという一貫した考えがあるのでしょう。口コミサイトのポリシーもこうした考えに近いものではないでしょうか。

患者さん側は何らかの不安を常に抱えており、さらに治療側と受ける側の知識や認識のギャップ、感情的な問題によるコミュニケーションの破たんが数多くみられます。様々な配慮でそれを埋めるべく努力がなされますが、それにより不満やクレームが回避できるかを問われれば、それは多少は減らすことができるというものにどまるものでしょう。

医療系口コミの扱いの難しいところは、その評価やクレームが旨い,不味いレベルの分かりやすさで万人に通じる参考情報とはなり得ないことです。個別に起きた医療上の問題のほとんどはそれぞれの患者さんに帰すべき問題で、他にはあてはめられないものばかりです。特に動物病院では同じ病気の治療でもその向き合い方は患者さん毎に異なりますから、よりそういった傾向は強いでしょう。

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大抵の獣医はある意味サービス業であるという認識と緊張感を普通に持っていますので、自らの言動や患者さんとの距離には常に気を配っているものです。私見ですが、獣医は個々の患者さんを理解しようという性向が強いという意味で、気持ち的にずいぶん患者さん側にいると思っています。これは、自ら病院に通院してみると治療側との距離感の差としてよく実 感できるものです。

それでもクレームは日常的に生じますし、「まさかこんなところから?!」という予想の斜め上からのものも時折経験するところです。もちろん、それはコントロールできる代物などではなく、患者数が多くなれば当然増えるものです。サイレントクレーマーもそれに応じて増加していくものでしょう。私は、不安で時にイライラしているかもしれない相手に対応し続けるということは、そういうものだと思っています。

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動物医療にはもちろん公的な医療保険制度がなく、さらに公的機関からの監督さえ受けない自由診療です。診療の「かたち」から個々の医療スタッフの位置づけに至るまで、あらゆる面で人の医療のような基準がありません。何事も経営者の倫理観や使命感、経営方針次第といっても言い過ぎではありません。

つまり、医療を受ける側が動物病院の方向性により生じている、こういった良くも悪くも様々な格差を含めて選択する必要があるということです。この辺りが動物病院選びを難しくしている原因かもしれません。。。

もちろん、料金に関しても人の診療報酬や薬価基準のようなものはありません。それだけでなく「独占禁止法により一律の報酬を設定すること自体が違法となる」ため、動物病院間の料金格差も決して小さくありません。こういったことはそれをご存知ない方によって動物病院の料金格差を批判する際の材料としてしばしば、やり玉にあげられるものですが、実際どうしようもないのです。

さらに治療の進め方において、同じ病気や症状であっても、患者さんの個別状況や希望の程度により個別に治療方針や内容さえ変化してしまう、いわば「区別的な医療」です。これもケシカランという方が当然いらっしゃると思いますが、完全な自由診療の元では致し方ないことです。

一方、人の医療保険制度は、老若男女誰にでも平等のすばらしいシステムですが、悪く言えば制度の枠内での杓子定規で患者さんの個々の特性を切り捨てた「区別のない」医療が実施されています。これは公的医療保険制度のもとでは仕方ないことですが、同じように見える動物医療の進め方とは、そもそも対極にあります。

そのような動物医療の特性とばらつきから考えると、動物病院向けの口コミサイトのニーズは人間の医療以上に高いものと思われます。サイトの目的と運営が適切でポリシーも適正な口コミサイトはもちろん必要でしょうし、動物病院を利用しようと思っている方にとって強い味方となるだろうことに疑いの余地はまったくありません。

しかしながら、運営方法を原因とする不適切な情報発信により、ポータルサイト自体が個々の動物病院への風評を助長したり、さらには動物医療全体に対して根拠のないネガティブイメージ を与えることがあれば、そのようなサイトの存在は一般の利用者には何らの利益ももたらさないでしょう。
また、善悪の詐欺的口コミ情報などにより利用者の選択を歪める可能性があるならば、それはいったい誰のため、何のための口コミ情報でしょうか?

口コミサイトの批判にさらされるのは、もちろん問題のある施設も一部にあるかもしれません。しかし、一方で多くの何ら問題のない施設、さらに積極的に難しい患者さんを受け入 れている施設、昼夜を分かたず診療を行うなど、同業としてその熱意に頭が下がるような動物病院やその経営者、よりよい動物医療のために既存の環境に安住せ ず、自らリスクを取って診療をしている数多くの獣医師が含まれているのは紛れもない事実です。

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動物病院口コミサイト、ポータルサイトを業としている方には、発信されるネット情報の性質を改めてよくご理解いただき、自らが拡散する情報が利用者や社会に対して最終的に適切なものであるよう、「しっかり仕事をしていただきたい」と思います。

他の組織の評価や格付けという「公の判断を装う仕組み」を最大限に利用してビジネスモデルにするのであればなおのこと、自らの公益性を追求する義務というものも同時に背負うべきだろうと思います。サイト利用者だけではなく、利害関係者に対して、自らの存在意義と目的を主張できるような仕組みの構築、維持発展を怠らない努力というものはそのサイトが社会的に存在する上で最低限果たすべきマナーでありましょう。

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最後に。。。徒然なるままに盛り込み過ぎて、2部に分かれるとても長い文章になってしまいました。最後まで根気よくこんな落書きを読んでいただいた方には感謝申し上げます。そして、なんとなく腑に落ちるところを持っていただければ幸いです。長文失礼いたしました。。。

文責:あいむ動物病院西船橋 病院長 井田 龍

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年中無休
平日は朝8時から診療します
※年末年始・お盆は診療時間が短縮になります。
※水曜日、13時以降は手術・処置のため休診です。

047-402-3700(予約制)

※ご来院前にご予約をお願いしております。
※緊急の場合でもご来院前にご連絡ださい。

>メールでのご予約、お問い合わせについて

千葉県船橋市西船1-19-28 朝日ビル1階
無料駐車場14台
駐輪場9台併設
病院前に6台と隣接する8台の駐車スペースがあります

駐車場

あいむ動物病院 西船橋スタッフ